みのりはブラジルの音楽はかなり昔から聴いてきましたが、なぜかその文化などに大きな興味を持ったことはなかったので、映画もよく見ていたのにブラジルの映画というものを見たことはありませんでした。しかし先日テレビで「セントラル・ステーション」というブラジルの映画が放送されていて、なんとなく気になって録画しておきました。そして後日それを見始めたらすぐに引き込まれてしまいました。

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ロードムービーという恐らくジャンルと呼んでいい映画のスタイルがあります。ある場所からある場所までの移動に伴って起こる出来事や登場人物の変化をフィルムにおさめたもので、映画という表現方法によってドラマを組み立てるのに適しているのでしょう、昔からさまざまな人がこのスタイルで作品を作っています。みのりもロードムービーが好きで、それはなんでなのかなぁと考えてみると、例えばドラマの展開やフィルムに写っているものに作為性が感じられるとみのりは興ざめしてしまうのですが、ロードムービーはおそらく時間の推移とともに場所が移動するだけで十分に映画的な進行の動力が生まれるので、そこにあえて余計なものを付け加えなくても作品が成立するからなのかなと思ったりします。でもそのように考えるならば、すべての優れた映画はすべからくロードムービーであるなんて言ってみたくもなります。

まぁそれはともかくこの「セントラル・ステーション」もいわゆる典型的なロードムービーで、しかもかなり優れた作品だと感じました。おそらくこの映画をとった監督は古典映画をしっかり勉強した人ではないでしょうか。構図の取り方やショットのつなぎ方などがいちいち的確で若干優等生過ぎるきらいがないでもないですが、映像の躍動感を損なうものではないのでみのりは好きです。やっぱり映画はドラマを語るものでもありますがそれに還元することができない映像の過剰な部分も重要だと思います。ラッシュアワーに人々が電車に乗り込むところ、引いたカメラでとらえられた雄大な風景、光に溢れた光の光景など、この映画にはそういった部分が感じられる瞬間がいくつもありました。

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しかしそのドラマもとても良いです。派手なことは何一つ起こりませんが、しかし巧妙に組み立てられていて退屈することがありません。ドラマが進むにつれて最初ドライだった人間関係が徐々に血が通ったものになっていき、最後はあたたかい気持ちに包まれる。みなしごの少年を生き別れた父親のもとへ送り届けるという単純なストーリーからこれほどの満足感が得られるのですから、それはやはりこの映画が素晴らしいということなのだと思います。

役者も見事です。最初は正直どの人も全く好きになれず、それは各々が見てくれも含めて魅力が感じられないからなのですが、映画が進むにつれてそれぞれの人間味も現れてきて、それにしたがって魅力的になっていくのです。主人公のドーラなどはその最たるもので、最初にくらべて最後は明らかに柔和な顔つきになっていて、演技とはとても思えません。この映画の重要な要素のひとつであるのは間違いありません。

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王道といっていい映画です。だからこそこの映画は誰にでもすすめられます。ハリウッドのジェットコースターに乗っているような映画ばかり見ている人またはテレビドラマと同じように撮られた日本の映画しか見たことがない人はぜひこのような映画も見てほしいなと思います。いつもとは違うけれども素晴らしい体験ができることでしょう。